2010年1月14日木曜日

[いまさら]2009年に観た映画まとめ



レイチェルの結婚
@bunkamuraルシネマ
羊たちの沈黙のジョナサン・デミ監督作品。主演はプラダを着た悪魔のアン・ハサウェイ。前年の2008年は観る映画観る映画はずれていた感じだったのでその流れを何とかしたいね、と思っていて、ジョナサン・デミは羊たちの沈黙が良いし、デブラ・ウィンガーも出てるし良かろうと思って見に行った作品。結果は吉。すごく良いわけではないけど、映画としてはちょっと面白い作りだったように思う。手持ちのカメラで、結婚式に参加した人が撮ったホームムービーのような味わいの部分があったり。あと、映画と言うものをちゃんとわかっている監督が撮った映画は観ていてイラつかないので良いね。お父さんが食器を見て無駄に動揺するシーンはあれはいらないでしょ、と思ったけど。ストーリーについては、姉がいて、さらにその仲がうまく行っているわけではない私には身につまされると言うか何と言うか。映画館に閉じ込められて逃げ場が無い状態じゃないと見ていられないかもしれない。あと、デブラ・ウィンガーは何をやっても存在感があるなあ、いい女優だなあと関心した映画でもあった。多分、2009年最初に観た映画。

インスタント沼
@角川シネマ新宿(だったかなあ?)
転々が非常に良かった三木聡監督作品。麻生久美子がこの時期に映画に出まくっていて、その中から選んだのがこれ。加瀬亮がそれほど好きでは無いんだけど、こういう使われ方をしている時は良いかなあと思う。局所的に面白かったけど転々ほどの良さは無し。これ映画じゃなくてテレビドラマかな。色々と勿体無いなあと感じた作品。DVDで観るのはいいかも。

夏時間の庭
@銀座テアトル
なーんでもないフランス映画。抑揚のない静かな映画。主軸のようなものはあまり無くて、母親の死後になんとなく明らかになってくる母親と大叔父との関係ついて、母親の残していった家と家具調度品などの遺産をどうするかについて話し合う兄弟(全員、母親の家がある田舎とは別のパリ、北京(だったかな?)、NYに暮らしている)、その子供たちの古い家での過ごし方などが風景のように綴られていく作品。少しノスタルジックでありながらも展開はリアリスティック。フランス映画らしくて、そういうの嫌いじゃないよ。ビノシュがなぜか金髪で出ていて、それはどうかなあ、と思う一方で母親役のエディット・スコブという女優さんがすごく良かった、というか好み。私は年配の女優さんが好きです。

サンシャイン・クリーニング
@シネクイント
リトル・ミス・サンシャインのチームが作った作品。ドタバタ的なストーリー展開でありながら、それぞれが個性的すぎる家族が、けれど誰ひとりとして家族からスポイルされないという、正しい家族のあり方を見せる物語でもある。その点ではレイチェルの結婚の方の「既に崩壊してるんだけどお互いへの少しの思いやりによって表面上は成り立っている家族」とは全く別の家族の物語。こういう家族のあり方はリトルミス〜の方も同様だった。私的にはリトルミス〜の方が好きだけど、これも良い映画だったと思う。そういえば、リトルミス~のお母さん役のトニ・コレットも大好きな女優さん。余談だけれども。

マン・オン・ワイヤー
@シアターN渋谷(昔ユーロスペースだったとこ)
フィリップ・プティがNYのワールドトレードセンターに綱を張って綱渡りをした時の事をドキュメンタリー映画にした作品。当時、友人だったり周囲にいた人達のインタビューと当時の映像、再現映像などで綴られて行く。普通に面白くて、当時の親友で計画から実行まで一緒にやり遂げたという人が目を潤ませながら当時のことを語るところではちょっと感動。これはラストへの伏線でもあるんだけど。ただ、この映画のラストは私にとってはバッドエンドなので非常に残念。途中までが面白かっただけに。でも、フィリップ・プティという人を題材にするということはそこまで見せないとダメなのかもなあ、とちょっと今思った。綱渡りのシーンで使われた音楽がサティのジムノペディで、これは素で大好きな曲なんだけど、静かな綱渡りの映像ととてもよく合っていて良かった。

クララ・シューマン愛の協奏曲
@bunkamuraルシネマ
映画中盤までのクララがすごく魅力的で良かったんだけど、後半がいまいち。私は若干ハッピーエンド厨なのでなんだか悲しい終わり方をすると心が晴れない。映画を見た後で、シューマンの死因を調べたり、当時の時代背景をちょっと調べたりして少しだけ合点がいったようないかないような。いや、本当に後半がちょっと、なんていうかすごいというか怖いというか。

女の子ものがたり
@角川シネマ新宿
きーちゃんには幸せになってもらいたいと思う。

空気人形
@シネマライズ
ペ・ドゥナが脱ぎ損。業田良家の漫画が原作で、漫画(短編集なんだけど)は業田良家らしくて良い漫画だと思う。でも、映画には映画のやり方があると思うので、そういう点ではラストがクソすぎた。アラタが「いや、抜けるところ」と言った時点で観客は次の展開を予想できるんだから、ラスト15分?20分か?くらいはあれじゃなくてもっと違う方法で見せてくれてもいいと思うんだ。是枝作品をほかに見たことがないので、いつもあのような映画を撮っているのかどうかわからないけど、映画は説明されすぎると気持ちが悪い。そして、終りが悪い映画は途中がどれだけ良くても好評価できない。
でもこの映画がすごく良かったという人もいるので、気になる人は見ておいてもいいと思う。感想は人それぞれ。良かったと言っていた人にはどこが良かったのかは聞いてみたい。

アニエスの浜辺
@岩波ホール(初めて行ったけどもっといきたい)
とにかく見逃さなくて良かった作品。ドキュメンタリー映画監督であるアニエス・ヴェルダの半生をまとめた作品。砂浜に鏡を置いて鏡に映った友人を撮影する手法とか、道に突然オフィスを再現して劇中劇を見せるとか、内容も撮り方も非常に映画的で、映画のことを良くわかっている良い監督(アニエス本人)が撮った映画であることがよく分かる。もちろん、普段社会派なドキュメンタリーを撮っている監督だけあって、手法どうこうだけではなくて内容もちゃんとしている。ドゥミとの関係もすこし語られるんだけど、それも良い。そういえばバーキンが「ジャンヌダルクを演じたかったけど、私のフランス語は英語なまりが強すぎて。やっぱりジャンヌはフランス人じゃないとダメね」と語っていたのがすごくかわいらしかった。良い映画体験をするというのはこういう事だなあとつくづく思う。2009年のマイベスト映画その1。

フィッシュチャイルド ある湖の伝説(ラテンビート映画祭)
@バルト9(ひざ掛けがない)
これもとにかく観れてよかった作品。たまたまラテンビート映画祭というのを知って、普段日本ではあまり配給されない南米系の映画が観れるということで、そのなかから恋人が観たいといったこの作品を選択。この映画は結局日本では配給されていないけど、どうか、配給されて欲しい作品。内容的には色々なダークマターを取り扱いながらも、最後のバスの中での二人の会話がとても象徴的で、未来を感じさせてくれるラストシーンになっているのがとても良い。ラテン映画はもっと入ってきてくれればいいのに。女性監督の撮ったアルゼンチン映画。原題は「El niño pez」。2009年マイベスト映画その2。(youtubeで英語字幕つきならある、のかな?今もあるかはわからないけど)

ドゥーニャとデイジー
@新宿Ksシネマ(新しくて、変な場所にあるけど施設としては悪くない。ただ上映している映画が微妙すぎてすぐつぶれそうな映画館)
オランダの人気テレビドラマの映画化か何かなのかな。二人のティーンズ(モロッコ人のドゥーニャとオランダ娘のデイジー)の対比がとても面白い。ていうかデイジーが超フリーダムすぎて面白い。ドゥーニャはイスラム教徒であるため、時々デイジーの行動が嫌になるんだけど、やっぱり親友だしほうっておけない、みたいのもまあよくある話ではある。物語はハッピーエンドなんだけど、きっとこの二人の未来は道を分かってしまうのだろうなあ、と思うとちょっと寂しい。個人的にはイスラム圏での女性はもっと開放されても良いと思うのだけれど、宗教についてはわからないことが大すぎるのでなんとも、ねえ。

パイレーツロック
@新宿武蔵野館
ロック、闘い、反骨、父親探し、恋とセックス。「男の子が好きそうなもの」をふんだんに盛り込んだみたいな作品。エンターテイメントでありながらちゃんと物語としても成り立っていて、さすが、「ラブ・アクチュアリー」を作った人たちだなあと思う。うん、面白かった。ケネス・ブラナーは好きな俳優なんだけど、悪役もうまいね。あと、誰も死なない映画っていうのは素晴らしいと思うよ。

千年の祈り
@恵比寿ガーデンシネマ(飲み物がOKになっていた)
チラシによく女優や俳優や有名人のコメントが載っていることがあるけど、まあだいたい感動しましたということを言葉を変えて書いてあるだけの参考にならないコメントばかりで、正直、それにはうんざりしている。ただ、この映画のチラシには余貴美子の言葉だけが、この映画のために書かれたキャッチコピーのように載っていて、それが印象的で観ようと決めた作品。

"平らかでない歳月を過ごした丸い背中の父親と笑わない孤独な娘との静かな会話が、生きるための祈りに聞こえてきた。"

一年の最後に観るのにふさわしい静かで暖かい映画。良い映画だったよ。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


見逃した映画
◆アルジェリア
◆未来の食卓

DVDで観て、良かった作品
◆櫻の園(中原俊)
→旧作の方。つみきみほがすごい良いと聞いていたけどその通り。あとは中原俊映画はいいなあ、ということ。

◆都会のアリス(ヴィム・ベンダース)
→「マヌケ!役立たず!」

◆アニー・リー・ボヴィッツ レンズの向こうの人生
→人を題材にしたドキュメンタリーは良いか悪いかのどっちかなのかね。これは良い方。アニーがキルスティンを撮影してるところとか面白い。あと、小さい子供の前で母親の顔になるとことかも。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


というわけで、2009年に映画館に見に行ったのは13本。だいたい月に1本程度。私的にはそれほど少なくない数だけど、もうあと何本かみたかったなあ。見逃したやつは特に。期せずして良作にいくつか巡り合ったりするのでやっぱり映画は観続けないとな、と思う。

そういえば、kdmsnr が年間50本以上の映画を観てるとかですごい驚く。DVDあわせてとはいえ、映画を観ることの消耗(と集中)を考えるとやっぱりすごい。

0 件のコメント:

コメントを投稿