30年前、政府に逆らった為に公演(チャイコフスキーの協奏曲を演っていた)を中断され、そのまま楽団まで解体させられてしまった指揮者のアンドレイ。清掃員として働いているボリショイ交響楽団のオーナーに届いたパリからの公演依頼のファックスを盗み出し、散り散りになっていたオケメンバーを集めて自分たちがボリショイだとでっち上げて、30年間引きずっていた夢の続きであるチャイコフスキーの協奏曲をパリで演奏する、というお話。
前半はステレオタイプなロシアやロシアの人々や共産党の風刺みたいなものを、コメディっぽく見せておいて娯楽映画的ですごく楽しい。
後半パリへ行って、リハーサルに集まらないボリショイのメンバーに呆れていたフランス人ソリストのアンヌ=マリー・ジャケが、サーシャのチェロや外見はいかがわしいジプシーのようなバイオリニストの演奏を聴いて素直に感動するシーンや、アンドレイがアンヌ=マリーとのディナーで協奏曲の想い出と取り憑かれてしまった心を吐露するシーンなんかはすごくすごく良かった。
フィナーレの演奏部分も、オーケストラものは長いなあと感じられることが多いんだけど、この映画は全然長いとは感じられない。そして、「ああ、この場面で映画が終われば完璧」と思った瞬間にエンディングロールが流れる。このタイミング!
とにかくいい映画。都内ではル・シネマとシネスイッチ銀座でしかやっていないみたいだけど、もっとたくさんのところで上映されてたくさんの人に観られるべき映画だと思う。
もしこれを読んで興味をもつ人がいれば観にいって欲しい。すごく楽しめると思う。
ちなみに、この映画を見て思い出した映画が二つほど。
どちらも私は大好きでいい映画だと思っていて、共産党のエピソードやオーケストラ繋がりというのもあるかもしれないけど、前者とは特にテイストが似ているなあと思った。
グッバイ、レーニン!(2003 ドイツ)
ベルリン・フィルと子どもたち(2004 ドイツ)
2010年4月30日金曜日
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